2XKO: ライブバランスの理念

2XKOのライブバランス、チャンピオンの多様性、全体的なゲームの健全性へのアプローチの詳細。

皆さん、こんにちは!Patrick ("pattheflip") Millerです。2XKOのライブバランスおよびゲームプレイアナリシスチームのプロデューサーです。私たちの役目は、2XKOの日々の状態をできる限り健全に維持し、すべてのチャンピオン開発ポッドがハイレベルなゲームプレイの視点およびインサイトにアクセスできるようにすることです。ここまで、アーリーアクセスのゲームバランスについて多くの素晴らしい意見が見られているので、今回は私たちがバランス調整に取り組む方法や、エコー、ヤスオ、ティーモ、後方ダッシュを含む、現在の本作の状態に関する私たちの見解、皆さんのプレイ時間とフィードバックが不可欠であり、それがどのようにして将来リリースされる本作のパッチの洗練に役立てられるのかについて説明します。長年の格ゲープレイヤーであり、かつライアターとして、私は常にFGC(格闘ゲームコミュニティー)とLoLのプレイヤーたちがゲームを深く理解し、改善方法について考える姿を見るのが大好きでした。この記事を読む皆さんにも、私たちの作業の進め方や、2XKOをより良くするためにできることが少しでも伝われば幸いです。

2XKOのゲームバランスの仕組み

本作のチャンピオンは小規模なチームによって開発されており、通常は開発に必要な各分野からそれぞれ1人ずつが参加しています。デザイナーはチャンピオンが使用する技を考案し、エンジニアはチャンピオンを機能させるために必要な技術を開発し、コンセプトアーティストは開発チームにチャンピオンの明確なイメージを伝える画像を提供しキャラクターアーティストはチャンピオンのモデリングを行い、アニメーターとテックアーティストはモデルを動かし、ビジュアルエフェクトアーティストは技の明瞭性を高めつつ装飾エフェクトを追加し、ナラティブライターはそのチャンピオンの性格や個性を伝え、サウンドデザイナーはそのチャンピオンならではのサウンドを適用し、プロデューサーは誰もがスケジュールを守って作業を完了できるようにします。

初期段階のプレッシャーテスト

さらに、このチームにはゲームアナリシスチーム(GAT)のメンバーが1人含まれています。これは高いスキルを持った品質保証アナリストのチームであり、彼らが責任を持って、開発チームが2XKOのみならず、格闘ゲームジャンル全体の深い専門知識にアクセスできるようにします。チャンピオン開発ポッドが技の開発と改善を繰り返す際に、GATのメンバーはそのあらゆる段階に関与して、ストレステストを実施し、その楽しさとパワーについてフィードバックを提供します。チャンピオンの開発が先に進むほど、変更に必要な時間と労力が増えていくので、GATが初期から開発に携わることで、大きなバランスの問題を早期に発見できるようになり、変更のためにチャンピオンの仕上げの作業をやり直す手間を省けます。(また、チャンピオンデザイナーに自分が開発したチャンピオンに完敗する体験も提供します。これは維持すべき重要な視点となります)もちろん、チャンピオンの技のテストがある程度完成した段階ですぐにプレイテストを行っています。これまでに2XKOで不快に感じたものがあるかもしれませんが、それは以前はもっと酷い状態だったということを知っておいてください。

リリース間近の仕上げ

チャンピオンがリリース可能な状態に近づいたら、デザイナーがライブバランスデザイナーのDawn ("Yohosie") Hosieと協力して、最終的な仕上げの調整を行います。この時点で、ほとんどの技が確定し、DawnがデザイナーとGATと協力して、そのチャンピオンの異常に強い部分や弱い部分、他の2XKOのチャンピオンのメカニクスと比較してバランスが取れていない部分を特定します。これには、スキル帯ごとの想定コンボルートの設計やプレイヤーにチャンピオンの能力を理解してもらうためのコンボ練習用トライアルの作成が含まれます。また、チャンピオンがリリースされる頃には当初の開発チームは別のチャンピオンに取り組んでいるため、アニメーターやエンジニアを必要とせずにチャンピオンの強さを微調整できる、小さくても効果のある調整レバーを事前に見つけておくことも必要です。調整レバーにはダメージやヒットボックス/ハートボックスの変更、ヒットリアクション、プッシュバック、ヒットスタン、ブロックスタンの長さなどが含まれます。また、まれに技の発生や硬直を変更するためにアニメーションの速度を調整することもあります。チャンピオンの数を増やすことが私たちの最優先事項なので、開発のこのフェーズにおいては、他のチャンピオンの開発に携わっている誰かを呼び戻して、そのチャンピオンの開発タイムライン全体に遅れを生じさせてしまうことがないように、チャンピオンのパワーを調整するために必要なツールを確実に用意しておく必要があります。

リリース後の調整

チャンピオンのリリース後も注意深くモニタリングを続け、さまざまなスキル帯におけるパフォーマンスやピック率/勝率、特定のチャンピオン同士の有利不利(マッチアップ)、人気のチャンピオンの組み合わせ、特定の技の使用頻度などをチェックします。また、プレイヤーがそのチャンピオンをプレイしたときや相手にしたときにどう感じているのかを知るために、そのチャンピオンに関するコメントにも注目します。というのも、対戦でフラストレーションを受けた際の感情的な体験は、実際の勝率データが示すよりも酷く感じられるからです。(これを書いている時点で、私たちのデータ上で最も不利なマッチアップは54%-46%ですが、誰もがそれよりもっと酷いマッチアップがあると感じていることでしょう。)私たちは毎日、データやSNS、配信、その他のフィードバックポイントを整理しています。そこからプレイヤーが本作で抱えている最大の問題点を特定し、開発チームの他の作業を中断させることなく、その問題を修正できる調整内容のブレインストーミングを行います。それを実装してテストを行い、本作への影響を確認した上で、次に予定されているパッチでリリースします。(または、問題が大きすぎる場合は緊急パッチをリリースします。クローズドベータで緊急の問題を解消するために残業してくれたリリースチームに感謝します!)

以上がライブバランスチームの大まかな活動内容となります。それでは次に、直近の予定および中期的な今後の予定についてお話しします。

ライブバ²ランスの今後の予定(現時点)

ここまでのフォーカス

この最初の数か月の私たちの最優先事項は、対戦の結果に大きな影響を及ぼすバグの発見と修正でした。これらのバグの多くはチャンピオンに意図せぬパワーを与えており、例えば、ヤスオの「狂い風」(空中 )にダメージ補正がなかったり、ヴァイの「フットワーク」()をダッシュキャンセルすると無限に固められたり、ブリッツクランクの「空気ヲ浄化」()のヒットスタンの補正のバグなどがありました。バグ修正で自分が使っているチャンピオンがナーフ(弱体化)されるのは嫌なものなので、想定どおりに機能している際の全チャンピオンのパワーレベルの正確な全体像を把握できるように、このような辛い調整はできるだけ早く済ませたいと考えています。また、対戦で予期せぬ瞬間を生み出すバグの修正も優先して行います。これには、チャンピオンが互いをすり抜けてワープしてしまうコリジョンの問題や、意図しない脆弱な瞬間を生み出すチャンピオンの状態、投げやスーパーが不自然に中断されて、防御側がヒットリアクションから抜け出せなくなってしまうものやアップドッグ(ワーウィックが無限に飛び続けるバグ)などがあります。幸い、これらの多くは原因を特定して1.0.3と1.1.1で修正することができたので、健全なゲーム環境を育むことにフォーカスをシフトすることができました。

今後のバランスパッチの目標

2026年のシーズン1より、約5週間ごとにバランスパッチをリリースすることを目標とし、その他のさまざまな2XKOのコンテンツと合わせて調整がリリースされますが、本作を健全な状態にするための必要性に応じて調整の数は異なります。次のパッチがリリースされる前に対処する必要がある大きなバグやバランスの問題が発生した場合は臨時パッチをリリースしたり、主要な大会の前に中断を発生させないように、パッチのタイミングを変える選択肢もあります。 

明確にしておきますが、何かを変化させることだけを目的として調整を行うつもりはありません。私たち自身も格闘ゲーマーとして、パッチによって自分が体で覚えた定番のコンボルートが使えなくなってしまうフラストレーションは理解しており、新たなチャンピオンやフューズがリリースされた際には、新たな何かを覚えるために夢中になれるべきだと思っています。現時点では、現在残っているバグやバランスの問題を解消するために、ゲーム内容の一貫性が妨げられると感じる変更があるかもしれませんが、各チャンピオンの中核となるシステムをできる限り早く安定させて、新パッチがリリースされても、得意なコンボに自信を持って挑めるようにすることが目標です。

基本的には、どのシーズンにおいても、プレイヤーがメタを回すことができる十分な機会を提供したいと思っています。格闘ゲームでは、プレイヤーが学習して慣れるにつれて「ぶっ壊れ」の戦術がB-程度まで落ち着くことがよくあります。そのため、あまりに早くナーフやバフ、パッチで調整してしまうと、プレイヤーが挑戦を乗り越えたときの達成感を奪ってしまうと考えています。格闘ゲームの面白さは高低差があってこそのものなので、これらのバランスパッチは主に弱点が過度に大きくなりすぎることを防ぐためのものになります。それでは次に、2XKOをあらゆるスキル帯でバランスが取れた状態にするために、何に焦点を当てるのかについてお話しします。

2XKOのバランスに関する初期の目標

すべてのチャンピオンにチャンスを与える

2XKOをバランスが取れた健全な状態にするにあたっては、まず最初に、あらゆるスキル帯でプレイヤーがどのように本作をプレイしているのかに注目する必要があります。私たちは、上級者だけでなくあらゆるスキルレベルのプレイヤーが楽しめるプレイ体験に責任を持っています。そのため、最初の目標は、すべてのチャンピオンがどのスキルレベルでも戦えるチャンスを持つことです。新規プレイヤーが2XKOを開いて、ただボタンを押すだけで楽しめるのが理想です。もし「勝つためには特定のチャンピオンを選ばなければいけない」と感じさせてしまうようなら、それは私たちにとって問題です。しかし、すべてのプレイヤーが2XKOの共通システムやチャンピオン固有のシステムを同じ順番で学ぶ訳ではないことから、これはバランスを取るのが難しい問題のひとつとなっています。ブリッツクランクとジンクスは初心者レベルの方が遥かに強くなっています。なぜなら初心者レベルでは、多くのプレイヤーが後退ガードやプッシュブロック、パリィ、キャラクター固有の対ゾーニング技などを上手く使えないからです。一方で、プレイヤーのスキルに応じて大幅に強くなるエコーやヤスオ、アーリなどのチャンピオンは、高スキル帯で強くなる傾向があります。高スキル帯でジンクス/ブリッツクランクを使うプレイヤーがもっと勝てるようにしたい場合は、新規プレイヤーの体験が犠牲にならないように、高スキル帯で頻繁に使用されるツールを特定して、それに調整を行う必要があります。

格闘ゲームコミュニティーの議論の場では、初心者の意見が見られることはあまりないので、彼らがどのような体験に遭遇しているのかを理解する助けとするために、私たちはゲーム分析に注目します。他の多くのライアットのゲームと同様に、私たちはさまざまなスキル帯の勝率とピック率、および特定のチャンピオンの組み合わせの勝率やチャンピオンの有利不利のチャート、技の使用率のデータを使って、問題を引き起こしているチャンピオンや、それによって最も大きな影響を受けているスキル帯を特定しようとします。最初の基準として、私たちは勝率が47%を切るか、53%を超えるチャンピオンを探して、そのようなチャンピオンのバランスを優先して調査します。特に、他のチャンピオンと比較して、そのチャンピオンの技のパワーに容易かつ安定的にアクセスできる場合は優先度が上がります。

競技における戦略的なチーム構成のメリットを高める

コンペティティブ・プレイ(ランク戦およびトーナメントのプレイヤーの上位10%)に関しては、私たちのバランスに対する考え方は異なります。タッグ格闘ゲームのいいところは、長所や短所が大きく異なるキャラクターをデザインする余地が得られる点です。これによって、リーグ・オブ・レジェンドの数多くのキャラクターから選択して、そのチャンピオンのテーマに忠実だと感じられるやり方で一緒にプレイさせることが可能になり、どれも一緒くたで同じだと感じられることを避けられます。しかし、これは同時に各チャンピオンがそれぞれ大きく異なるゲームをプレイしていると感じられることにもなり、キャラクター1体だけで戦う格闘ゲーム以上に、個々のキャラクターの組み合わせの有利不利の差が大きく感じられる可能性があります。

真剣なコンペティティブ・プレイにおいては、プレイヤーには、お互いの弱点をカバーするチャンピオンを2体選んだり、特定の戦略に秀でたキャラクターを2体選んだりすることで、長所と短所を念頭においてチャンピオンを組み合わせてもらいたいと考えており、効果的に相手の戦略を阻止し、自分の戦略を推し進めることで勝敗が決するようになって欲しいと思っています。私たちはソロとデュオのプレイでは異なるチャンピオンとフューズで独自のチームを編み出すプレイヤーがメリットを得られるべきだと考えており、プレイヤーが上手くなるにつれて、相手のプレイヤーやチャンピオンの組み合わせに応じて、幅広いチームを利用して勝てるようになるプレイヤーもいれば、特定のチャンピオンの組み合わせのみをひたすらやり込むプレイヤーも出て来るようになると考えています。競技シーンのタッグ格闘ゲームの歴史で記憶に残る瞬間のひとつは、幅広いキャラクターを利用するプレイヤーと特定のキャラクターに特化したプレイヤーとの対戦であり、本作は特にデュオにおいて、特定キャラクター専門のプレイヤーと多くのキャラクターを使いこなすプレイヤーの両方が活躍できる余地があると考えています。

高スキル帯では、勝率である程度のインサイトが得られますが、ここでは差が表れにくいので(上位1%のプレイでは、私たちが設定した47~53%の警告ゾーン外に出たチャンピオンは存在しません)、高スキル帯で特定のチャンピオンのピック率が急上昇した場合は、勝利にこだわるプレイヤーたちが、他と比較して少し強すぎるチャンピオンやチームに集中している兆候だと考えます。奥が深くてやりがいのある格闘ゲームの特徴は、スキルの高いプレイヤー同士が「どの戦い方が最適か」で意見を異にできることだと考えています。そのような状況になっていない場合、それを改善するのは私たちの責任です。しかし、ここでの統計データよりも、ロビーでのプレイ、トーナメント配信、SNSでの議論などで見られるプレイヤー体験のほうが重要なことが多いです。熱心な格闘ゲームプレイヤーにとって、ゲームの体験は、実際にはごく少数のプレイヤーのプレイスタイルを見ることで形作られることが多いと私たちは理解しています。それでは次に、これまでに見られたバランスの傾向についてお話しします。

クローズドベータとアーリーアクセスでのチャンピオンの多様性

初心者のプレイに注目した場合、あらゆるチャンピオンに勝てるチャンスがあることが私たちの目標であり、それがまさに実現できています。以前に言及したように、初期にはジンクスやヴァイ、ブリッツクランクなどの外れ値が確かに見られましたが、そんな彼らでも、私たちが妥当な範囲だと考える3%の勝率マージン内に収まっています。フューズのなかでは圧倒的に「ダブルダウン」が多く利用されています。これはおそらく、強い上に使い方が比較的に簡単であるのはもちろんですが、フューズのチュートリアルをプレイして解除する必要がない、唯一のチームベースのフューズであることも理由でしょう。このスキル層のプレイヤーが報告したフラストレーションの多くは、2XKOのシステムやメカニクス、入力などの習熟曲線に関連しており、これはもちろん、2XKOの開発チームが今後さらなる調整を行うものですが、必ずしもバランスの問題ではありません。

高スキル帯では、チャンピオンのバランスに少し偏りが見られており、エコーとヤスオがピック率も勝率も高くなりすぎており、ティーモは勝率が高すぎて、ブリッツクランクとブラウムは私たちの想定よりも少し低い勝率となっています。プレイヤーアンケート(メールで受け取っていると思いますが、回答していただけましたか?)でも、各チャンピオンのパワーレベルの印象は、基本的には、こちらの勝率のリストとほぼ同じとなっています。これらのチャンピオンを質的観点から分析すると、以下の具体的な問題点が特定できました。

  • エコーとヤスオがポイントとアシストの両方で効果的すぎるので、コンペティティブ・プレイにおいては、他のチャンピオンたちが有用だと感じられなくなっている。

  • ティーモは遠距離での戦闘は非常に優れているが、接近時にも少し上手くやれすぎており、意図された弱点が意図された長所と十分に相殺されていないので、本来あるべき状態よりも勝過ぎていると考えている。

  • ブリッツクランクとブラウムは、他のチャンピオンたちが移動や飛翔物、強力な攻撃で距離を取ることができるので、どちらも立ち回りで苦戦している(特にブリッツクランクが)。また、彼らの最速の通常技の発生が8フレームであることから、立ち弱攻撃の発生が6フレームの素早いチャンピオンたちと殴り合うことが難しくなっている。

エコーとヤスオが両方の役割で活躍できている

エコーとヤスオに関しては、ポイントでは機動性が高くて、ミックスアップ(択)が強力なチャンピオンにしたいと思っていますが、彼らはヴァイやワーウィック、ダリウスなどの他の強力なポイントキャラクターが霞むくらいに強すぎると感じています。機動性が高くて択が強力なキャラクターと、攻撃が重くてアシストのユーティリティー性能が高いポイントキャラクターのどちらを選ぶかについては、どちらにも一長一短があると感じて欲しいものの、現時点ではあまりそうなっていません。そうではなく、彼ら(特にエコー)はアシストでもトップクラスなので、他のチャンピオンを選ぶと、すべてにおいてパワーが低下すると感じられています。プレイヤーたちは、特にこの2人を組み合わせると強力であることを発見しているので、2XKOではハイスピードに択を仕掛けるチームが他のどんな戦略のチームよりも圧倒的に優遇されているという印象を与えています。

どちらのキャラクターも楽しくてかっこいいと思いますが、彼らばかりを目にすることになるのは決して楽しくはないので、1.0.3では彼らのパワーレベルを低下させるつもりです。エコーは「タイムワインダー」()の効果時間とブロックスタン、「クロノストライク アシスト」()は少し遅くなって移動距離が少し短くなり、ブロックスタンが短くなって、彼が登場中に反撃の余地が拡大する調整を行います。ヤスオについては、残ったダメージ外れ値および空中 のミックスアップのユーティリティー性能を低下させて、択がそれほど圧倒的でなくなり、成功時の見返りも少し低下するようにします。これらの調整だけでは彼らのバランスの問題が解決するとは思いませんが、これは短期的に全体的なバランスを少し改善する機会だと考えており、その間に、より影響力のある解決策をじっくりと練る時間を取りたいと考えています。バランスの問題に対処しつつも、この2体のチャンピオンの楽しさを維持することは重要だと考えているので、これには、いくつかの数値を変える以上の変更が必要になるでしょう。 

ポイントで期待以上の活躍をするティーモ

ティーモもまた、意図したよりも少し強すぎることが証明されていますが、この問題の解決はそれほど複雑ではないと考えています。彼は遠距離で苛立たしい存在となることが意図されていますが、他のツールが作り出す優位が少し大きすぎるので、1.0.3では「バンドル ダッシュ」()と「ヨードルハイク」(空中 )、「キノコ散布 アシスト」()、「バンドル スカイパトロール」( スーパー)に調整を行い、これらの技のゲームプレイの個性を維持しつつ、反撃の機会を増やして、メリットを低下できるか見てみるつもりです。(さすがバンドル偵察隊、ちょっと万能すぎますね)シーズン1ではさらなる調整も行う予定ですが、これらの最初の調整でどのように落ち着くかを見てみたいと思います。 

全体として、1.0.3の調整の目標はエコー、ヤスオ、ティーモを相手にした際のプレイを少し容易にして、フラストレーションを低下させることですが、それだけでバランスが健全な状態になるとは思っていません。1.0.3ではブリッツクランクにも調整を行い、特にスチームへのアクセスと「ロケットパンチ」()が飛翔物を無効化できる安定性を改善します。現在、他の活躍できていないチャンピオンへの調整もテストを行っており、8フレームの立ち弱攻撃をすべて7フレームにスピードアップしたりといった調整がシーズン1で実装されるかもしれません。これらの変更によって、チャンピオン選択のピック率がバランスの取れた状態に近づくでしょう。また、これらの調整が落ち着くにつれて、アーリのパワーレベルにも注意を払っておきます。彼女は他のチャンピオンと比べて全体的に私たちが意図した強さに近いため、他のチャンピオンの調整作業を優先しています。ただし、彼女の技のなかには反撃できる要素が少なく、バランスが取れているとは言えないものもあると考えています。

2XKOの立ち回りとディスエンゲージのパターン

次は2XKOの立ち回りについて少しお話しします。格ゲーが初めての方のために説明しておくと、「立ち回り」とはどちらのチームも攻撃が相手に当たっておらず、どちらのポイントチャンピオンも相手のチャンピオンを攻撃する機会を伺いながら、移動、攻撃、アシスト召喚を自由に行える「中立」な状態を意味します。アシストのクールダウンタイマーがリセットされるのを待つ間に後方ダッシュや後方ジャンプでディスエンゲージする(戦闘を拒否して逃げる)行動の価値が高すぎるという意見が聞かれているので、本作における移動に関する私たちの考えと、それがどうあるべきだと考えているかについて少しお話ししておきます。

タッグチーム格闘ゲームと低リスクなプレイのメリット

2XKOは各チャンピオンの戦闘に関するテーマを実現するために、全体的にキャラクターパワーが高く設定されています。また、タッグチームの戦闘の面白さを引き出すために、アシストとタッグシステムのパワーも高くなっています。さらに、ニッチなフレームデータの詳細を強調するのではなく、プレイヤーが賢く高スキルな位置取りで攻撃と防御を行えるように、移動も強力に設計されています。チャンピオンは戦場を移動して攻撃を行いながら、その長所と弱点を表現するので、4体のチャンピオンが混雑せずに移動と攻撃を行える十分な余地を確保するには、かなり幅が広いステージが必要になります。 

ステージが広く、移動性能が高く、さらにアシストのメカニクスが主にクールダウンタイマーによって制限されているため、多くのプレイヤーはポイントキャラクターで離脱して、アシスト召喚やハンドシェイクタッグを活用して中立状況を制し、攻撃のチャンスを作る戦法を取っています。相手が安全にアシスト呼び出しを咎めようとすると、逆にポイントキャラに反撃の隙を与えてしまうため、この戦法はリスクが低く、それでいて高いリターンを狙える戦略になっています。低リスクな立ち回りはタッグ格闘ゲームでは一般的なプレイパターンですが、特定のポイント/アシストの組み合わせやハンドシェイクタッグのスピードが理由で、2XKOではこれが特に先鋭化されており、現状では特にヤスオとエコーが強力となっています。

離脱戦術を削除するのではなく、その効果を抑える

明確にしておきますが、私たちは2XKOの健全なメタには多彩なプレイパターンや勝利条件が存在すべきだと考えており、勝っているチームがすべて同じに見えるゲームにはしたくありません。立ち回りで距離を取ってスペースをコントロールしながら戦うチームもいれば、素早い択の仕掛けと重いアシストで一気に畳みかけるチームも存在すべきです。ゲージをダメージに使うチームもいれば、画面内の空間をコントロールするためにゲージを使うチームも存在すべきです。上段/下段を複雑に重ねたフリースタイルミックスや、画面を覆いつくすスーパータッグなど、異なる目標を狙ってプレイするために、どのチャンピオンとフューズを組み合わせるかについて戦術を練ることが、タッグ格闘ゲームの面白い部分であり、クローズドベータとアーリーアクセスでは、これまでにプレイヤーが考えたさまざまなチーム戦術を見ることを楽しんできました。 

チャンピオンのバランスの問題と同様に、このディスエンゲージのプレイパターンが存在することが問題なのではなく、それがチャンピオンに与える影響が公平ではなく、競技レベルにおいて、そのせいでどの対戦も同じように感じてしまうことが問題なのです。しかし、この問題は2XKOの戦闘の独特な魅力となっている核となる戦闘メカニクスの基礎に大きく結びついていることから、現在の私たちの課題は、プレイヤーが本作で気に入っているすべての要素を破壊することなく、このプレイパターンのメリットを低下させることです。そこで、2XKOの魅力となっているチャンピオンが持つ力の表現方法や戦略的なチームの多様性を維持しながら、このパターンをどのように調整できるかについて調査を行います。

まだテスト中なので具体的なことはお伝えできませんが、基本的な考え方としては以下のようなものです。まず、後方移動を悪化させるのではなく、前移動を改善して後退する相手への攻撃を当たりやすくしたいと考えています。また、アシストおよびタッグのメカニクスを悪化させることなく、アシストに対する反撃をもっと安定して行えるようにし、そのメリットを高めたいと思っています。さらに、頻繁に後方に移動するとブレイクゲージやスーパーゲージが減少するといった、離脱を抑制するようなシステムの実装は避けたいと考えています。なぜなら、これらのメカニクスはチャンピオンの戦闘デザインにおいて、単一の戦略的アプローチのみを優遇してしまうことが多く、それは私たちが2XKOに対して持つビジョンにふさわしくないと感じるからです。また、一度に多くの調整を行うことには慎重になりたいと思います。立ち回りを停滞させるパターンとチャンピオンのバランス格差の両方を対象として数多くの変更を同時に行うと、両方の目標に対する総合的な効果を予測しにくくなり、メタを面白くない方向に大きく変化させてしまう可能性があります。

2XKOのバランス調整に貢献する方法

もうお分かりだと思いますが、本作の健全なバランスを維持するのは困難な作業であり、数多くの熱心なプレイヤーが本作の改善に協力してくれていることは、開発チームにとってとても幸運なことです。そこで最後に、皆さんに貢献していただく方法についてお話しします。 

プレイを続ける

改善のためいちばん助けとなるのは、皆さんが好きなように本作をプレイしてくださることです。プレイヤーの皆さんがどのように本作をプレイしているかを、私たちは大規模なデータとして常に把握しています。あなたがトップティアのぶっ壊れチャンピオンでランクマッチを回しているなら、私たちにはその勝利の記録をバランス調整の参考にします。そして、あなたが自分の好きなチャンピオンにこだわって負けてしまっている時も同様です。好きなチャンピオンやランキングのポイントのためにプレイしても楽しくなくなってきたなら、友人とデュオを組んで、カジュアルでキャリーしてあげたり、ちょっと休憩して他のゲームをプレイしてみるのもいいでしょう。私たちは調整を行い、あなたが戻ってくるのをここで待っています。現在、世界には素晴らしいゲームがたくさんありますからね。バランスは格闘ゲームだけのことではありません。

バグを見つけ続ける

2つ目に助けとなることは、バグを見つけたら、できれば公式のバグ報告フォームを利用するか、X(旧Twitter)で#2xko_bugsのタグを使って投稿してください。動画クリップやゲームID文字列(画面右下に表示されている英数字の長い文字列。リプレイでも確認できます)を記載して添えてもらえれば、問題の特定と再現がとてもやりやすくなります。より多くのバグを見つけて修正できれば、チャンピオンの強さが本来あるべき部分から発揮されているかを、より正確に確認できるようになります。

話し続ける

最後に、何が強くて、何が弱いのかについて、プレイヤーの皆さん同士でぜひ話し続けてください。私たちは日常業務の一環として、皆さんの投稿を読み、動画を視聴し、ティアリストを見ては頭を抱えていますが、開発者である私たちが直接会話に参加するよりも、プレイヤー同士のやり取りを観察する方が、より正確で偏りのないデータが得られると考えています(とはいえ、時々こちらから会話に参加することもあります)。これまでの皆さんのバランスに関する議論を見て、互いの体験を前向きで建設的なトーンで共有してくださっていることに安心しています。調整の可能性を語り合う人、やや控えめに意見を述べる人、そして「腕を上げよう(git gud)」と促す人──その間に良いバランスが取れているように見えます。

また、多くの新規プレイヤーが、初めてのタッグ格闘ゲーム(中には人生初の格闘ゲーム!)を楽しんでくれており、 同時に、熟練の格闘ゲームプレイヤーたちが、タッグバトルの伝統にふさわしい“クールで強力な戦略”を編み出して楽しんでいる姿も多く見られます。開発チームのメンバーの多くは、プレイヤー同士がお互いに素晴らしいことも、とんでもないこともできるゲームをプレイしながら育ってきました。そうした中で、勝ったり負けたりしながら過ごした数えきれない時間と体験が、この先に待つ開発作業における何よりの原動力となっています。けれど、私たちは本作を皆さんのために開発しているので、皆さんが気に入った部分と気に入らない部分を私たちに教えてくれること──それが、本作をより良くするための鍵になります。

長々とお読みいただき、ありがとうございました!

-pm